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Webデザインの求人は「実務経験必須」とされていることが多いです。実務経験の有り無しで何が違うのか、と思ってしまう方もいると思いますが、知っているか知らないかで明確に対応が変わるものの代表格が「リニューアル案件」です。
HTMLやCSS、Javascriptが使えることは前提として、リニューアル案件にはそれ専用の知識が必要となります。
受注する方が知っておくのはもちろん、発注する方に関しても知っておかないと、特にクラウドソーシングで発注する際には高確率で事故が起こります。
今回の記事では、あくまで入口ですが、「リニューアル案件」を始める際に何に気を付けるべきか、について解説していきます。
しっかり知識をつけて、トラブルを回避しましょう!
ポイント① URL(ドメイン)は変わるのかどうか
URLとは、Web上の住所のようなもので、全く同じものは存在しません。
このWebサイトで言うと、上のアドレスバーにある「https://web-entrance.jp」が該当します。
また、URLとメールアドレスで共通している「ドメイン」とは、URLのうち、「https://」を省いた部分です。
この「ドメイン」を取得しておくと、以下の2つが作成可能です。
- WebサイトのURL(例:https://web-entrance.jp)
- メールアドレス(例:info@web-entrance.jp)※ @ の前は自由に設定可能です。
ここで気を付けないといけないのが、「リニューアルでURLが変わる場合、ドメインを共有しているメールアドレスも変わる可能性が高い」という点です。
もっとも、「以前のドメインはそのまま持っておいて、まったく別ドメインでWebサイトを運営する」という可能性もあるので、思い込みは厳禁です。
また、ドメインが変わる際にはそのままだと、ドメインが持っていたSEOの能力(ドメインパワー)が引き継がれませんので、ドメインパワーを引き継ぎたいときには「301リダイレクト」という対策を講じる必要があります。
ポイント② システムは変わるのかどうか
引っ越しの際には、該当するWebサイトがどうやって作られ、どのような仕組みでリニューアルするのか、を知っておくことが必須です。
まず、Webサイトの作り方には、大きく分けて3通りあります。
Webサイトを構成するHTML / CSS / Javascriptという3つの言語を使用してWebサーバーにアップロードする作成方法です。
一般的には表示速度が速く、かつセキュリティは比較的高いほうです。
ただし、更新する際にはそれらの言語を使用する必要があり、知識のない方では手が出せません。そのため、社内に更新担当を置くか、外注で作業を依頼する必要があります。
「社員が記事を更新できるようにしたい」「コンテンツを多く作成したい」という要望から生まれたのがCMS(Contents Management System)と言われるものです。
WordPressやMovable Typeなどがこれに該当します。
一番の強みは、言語を知らない方でもブログ感覚で記事を投稿できることです。
ただし、その反面で定期的なシステム管理が必要で、怠っても動きはしますが、更新しないとセキュリティリスクが高くなっていき、最悪サイトの乗っ取りにまで発展する可能性もあります。
セキュリティを保つには、少なくとも四半期か半年には業者にシステム更新の依頼をする必要があります。
現在シェアを伸ばしつつあるのが、WixやStudioなど、コードを打たなくてもWebサイトが作れるサービスです。
システム管理などは運営会社に任せればよいので、その点では心配は少ないといえます。
また、ドラッグ&ドロップでレイアウトができるので、知識のない方でもWebサイトを作成することができます。
ただ、これらのサービスは原則として1サイトごとに料金がかかるため、「イベント用のサイト」「プロモーション用のサイト」などを作成する際にはそのサイト数分費用が掛かります。
また、すべてのデータは運営会社で管理されているため、万一運営会社がサービス終了した際には、そのデータは取り出すことができません。
どの方法で作成しても、一長一短で、その中で自社に適切なシステムを選定する必要があるのですが、リニューアル案件においては、「何から何に乗り換えるのか」が重要です。
1,2,3のどのケースにおいても、違う仕組みにするときは基本的に全部作り直しになります。
同一のシステム同士だと比較的簡単なのですが…。
HTMLのサイトを作り変える、と言われてWordPressかな、と思ったら「Wixが良いと聞いたので…」と言われ、工数が一気に増加する、などのトラブルが発生しうるので、システムは事前によく聞きましょう。
ポイント③ サーバーが変わるかどうか
HTMLサイトにせよ、WordPressサイトにせよ、サーバーが変わるかどうかはとても重要です。
引っ越しそのものはシンプルではありますが、ドメインがそのレンタルサーバーで契約したものであれば、新サーバー先に「ドメインの移管」を行わなければなりません。順調にいっても数日かかることが多く、ドメインの残り契約期間によっては移管ができなかったりと、甘く見ているとやけどします。
また、旧サーバーでドメインに紐づいたメールアドレスを使用していた場合、新サーバーに移行した場合、基本的に内容がリセットされます。
メールサーバー内のデータはなくなります(パソコンのメールソフトには残るケースもある)し、メールの設定もかわるので、メールアドレスをすべて設定する必要があります。
そうなると先方の社員さんではメールアドレスの設定ができないことも多く、結局リモート操作などを駆使してメールアドレスを再設定することもあります。
受注者はもちろん、これは発注者にもぜひ覚えていてほしい内容です。
ポイント④ 301リダイレクトが必要かどうか
引っ越しをしたことのある方はご存じかもしれませんが、郵便物が引っ越し先に届かないと困るので、「転送設定」という仕組みが郵便局にはあります。
旧住所あてに届いた郵便物は自動的に新住所へ届ける、という仕組みです。
これと同じような働きをするのが「301リダイレクト」という仕組みです。
旧ドメインのリンクをクリックした人が自動的に新ドメインへ移動できるようになります。
また、この301リダイレクトは、旧ドメインが持っていたSEOを引き継ぐことが可能です。
「SEOなんて家はうちは気にしないよ」という事業者様がいても注意が必要です。
リダイレクト処理を行っていないと、「自社名でも当分検索上に出てこない」という現象が発生しかねません。
興味のある方は301リダイレクトを検索してみてください。
クオリティの良し悪しは、まず「やることをやってから」です!
特にクラウドソーシングでの契約では注意しておいてほしいのですが、この仕組みが分かっていない業者と契約してしまうケースは少なくありません。
コンテンツやデザインが良いかどうか、はもちろん大事ですが、このような基本的な部分が分かっていなければ、意味を成しません。
そのような受注者が減ることも願っていますが、一方で発注者がそのような知識を持っていれば、発注の際に質問してフィルタリングすることも可能です。
今回の内容は入り口部分の話ですが、ぜひこれを参考にしてお互いが満足のいく契約へとつなげていただけたらと思います。