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2023年現在、DXなどの機運の高まりを受けて、Web系の制作会社への就職を目指して職業訓練やスクールに通われる方が多くなっているように感じます。
その一方で「Web系の制作会社への就職は厳しい」という声を聴くこともあるかもしれません。
実際の体感としても、Web系の制作会社への就職は未経験からはかなり厳しいです。
今回は、なぜ厳しいと言われているのか、どうすれば就職ができる確率が高まるか、それ以外に選択肢はないのか、などについて解説していきます。
Web業界への就職が厳しいと言われる主な理由
Web業界、と一括りに言っても「制作」「マーケティング」「(主にアプリの)開発」など、様々です。
そして、経営がうまくいっている会社は「人手が足りない」と言っていることも事実です。
では、なぜWeb業界への就職は厳しいと言われているのでしょうか。
どの職種でもいえる話ですが、未経験者を採用した場合、まず行うことは教育と簡単な仕事の割り振りです。
事務や営業補助などだと、まずは掃除や電話番、来客対応など、専門知識を必要とせず、かつ教育コストの低い状態からスタートすることがほとんどです。
そうやっていくうちに先輩社員と一緒に作業に触れて少しずつ戦力にしていくのが王道でしょう。
しかし、Webの制作業務においては「新人に与える仕事」のハードルが高くなってしまいます。
Webサイトの制作業務の中で比較的取り組みやすいと言われているコーディングでさえも、モバイル化はもちろん、社内のコーディングルールにのっとった実装、アクセシビリティを高めるための設定など、「じゃあとりあえずこれお願い」というレベルの作業ではありません。
そのため、入社したらまず社内のコーディングルールを覚えたり、不足しているスキルを早急に学習するということが先決になります。
そうすると採用側の企業としては、少なくとも数か月間はその方の給料は対価を得ることのできないコストとして計上せざるを得ません。
また、ぎりぎりの人員で回している会社の場合、教育のために社員を動かすためのスケジュール管理やマネジメントが必要になります。
これらの事情が背景にあり、「採用するなら少なからず経験を積んでいる方の方が良い」という状況が生まれているのが現状です。
前提条件が異なる、「地方と都会」
ハローワークのインターネットサービスなどで検索をかけると、地方と都会では求人数に大きく差が出てきます。
一例として、この記事投稿時点で「ウェブデザイナー」の職種で何ページ分掲載されているかを検索してみました。
- 東京 9ページ
- 大阪 6ページ
- 福岡 3ページ
- 大分 1ページ
当然と言えば当然の結果ですが、人口が多いほど企業は多く、それに伴って求人数が増えています。
でも「目指す人も多いから東京は東京で競争率高いでしょ?」と思われるかもしれません。
まったくもってその通りで、人口が多い所は職業訓練校も多く、かつスクールもひしめき合っています。
そのため、東京近郊の企業で仕事をしている会社の方からしてみれば、未経験の就職活動は「じっくり時間をかけて学習して質と量の両方を追っていった方が良い」という意見になるわけです。
一方で地方の場合は、求人のタイミングによってはいくらスキルを上げても求人が見つからないということも普通に発生します。
そのため、求人の少ない地方では、「常に求人をチェックして、出てきたらすぐに応募する」ぐらいのことをしないと就職できません。
もちろん、だからと言って最低限のモバイル化すらもできていないようなサイトを見せても書類選考であっさり落ちます。
このように、地方と都会、という分類だけでも前提条件が違うと取るべき行動が変わってきます。
そのため、私が教える際は「就職についてネットで断定的な発言をしている方のアカウントは、その人がどこに住んででいる人か、リプライはどのようなものがついているか、引用している人はどのようなことを言っているか、で多角的に判断しよう」と言っています。
余談ですが、X(旧twitter)では、その人の発言のコメント(リプライ)は好意的なものが多く、引用は批判的なものが多くなりがちです。そのため、両方を見ること、コメントや引用をしている人のプロフィールも確認することをお勧めします。
厳しい中で就職するためにやるべきこと
未経験からの就職は決して楽な道ではありません。
そのような状況でなお目指したいと考えたときに、何をすればよいのでしょうか。
私の私見になりますが、いくつかのポイントを提示いたします。
ネットで情報収集すると、やれAstroだ、Reactだ、Tailwindだという風に、モダンな技術に触れておいた方が良いという話が多く見受けられます。
もちろん、モダンな技術に触れることは大事だと私も考えています。
しかし、これらは根っこにある基礎的なHTML/CSS/JavaScriptがそもそものベースになっています。
職業訓練が4か月という期間しかないことを踏まえると、その領域に手を出す余裕は正直ありません。
また、HTML/CSSはプログラミング言語ではなくマークアップ言語ですが、突き詰めるとプログラミング言語とはまた違った難しさがあります。
特にCSSは「どのデバイスでも同じユーザー体験を与える」という観点で実装すると、なかなかの難易度です。
どのデバイスでもしっかり表示させるコーディング技術は基本です。しっかり磨きましょう。
同様の理由で、よく話に出てくる以下の技術に関しても、優先順位は決して高くないと考えています。
CSSフレームワークの一種で、以前から多くのサイトに利用されています。
しかし、使用する企業と使用しない企業にきっぱり分かれているので、行きたい会社が必要条件に入れたりしない限りは優先順位は低い。
CSSをより直感的に記述することのできる技術。多くの会社が採用しているが、本来のCSSに加えて覚えることが増えるため、優先順位は低め。本当に社内で使用する場合は、入社後に研修や、課題という形で習得することもある。
ただし、Sassの記述方法であるSCSS記法に関しては、CSSを参考にしたい記事がSCSSで書かれていることがあるので、いざというときにCSSにかみ砕いて考えられるようになっていると技術の習得幅は広がる。
JavaScriptのライブラリの一種。昔から使用されており、採用しているサイトも多い。
一方でアプリ開発などでは読み込みに時間がかかることから採用される率は低い。
ネイティブなJavaScriptでもだいぶ記述しやすくなったので、優先順位は低め。読めるに越したことはない。
複数人でサイトやアプリを作成するときに用いるCSSのルールのこと。
皆が同じように実装することでメンテナンス性が向上するメリットがある。
ただし、CSS設計自体も何種類かあるため、入社してからそこの採用ルールで学習したほうが無駄がない。
お問い合わせフォームやECサイトなど、Webサイトのバックエンドで用いられるサーバーサイドの言語。
需要が高いため、プログラミングが楽しいと感じるのであればトライする価値はあるが、JavaScriptのように結果が分かりやすいものではないので、諸学者にしてみれば時間のわりに達成感が低め。
セキュリティ等を考慮すると、実用レベルで使用するには実務経験が欠かせない。
世界中で多く使用されているサーバーインストール型のCMS(コンテンツマネジメントシステム)。
現在はシステムの大幅な変更の過渡期にあるため、参考書が出たころには内容が変っていることも。
フルカスタマイズは可能なものの、実際にそれをするには広範囲な知識が必要。
実際に触って、更新やページの追加ぐらいはできる程度にはしておいた方が良いとは思う。
HTML/CSSだけをとっても、技術は深く、広いです。
そのため、「全部飲み込めたら作ろう」と考えていると永遠に作り出せません。
最初は不格好で問題ありません。文字だけ、画像だけでも良いので早い段階から作り出し、後で覚えた技術で追加していけばよいのです。
本格的に作り出すのが3か月目以降だと考えると、複数サイトの制作は決して余裕はありません。
おそらくこれが最も難しいです。
今まで考えたこともなかったことを考え出すのは、少なからず負担です。
ただし、作品集としてポートフォリオに掲載したときに「こういったエンドユーザーを想定して、このようなデザインにしました。実装時にはこのようなことに気を付けて作成しました。こういった部分は課題だと感じました。」というところまで説明できる人はごく少数です。
採用担当の方は教科書や授業でなぞったサイトを応募のたびに見ています。どれだけしっかり考えているかが伝われば、それだけで十分差別化になりえます。
コンセプトは技術がなくてもある程度考えることが可能です。
他にもいろいろとありますが、まずはここからかな、というのが私の立場からの見解です。
別の場所で習得技術を活かす、という選択肢もある
ここまで解説したように、Web制作関連の企業に就職するのは容易ではありません。
また、実際に学習して「なんか思っていたのと違う」というケースもあるでしょう。
しかし、制作会社に入る、というだけが選択肢ではありません。
Webサイトの制作技術を学ぶ過程で身に着けた技術は、他の職種や業種でも生かすことが可能です。
クラウドソーシングの影響などもあり、ただ作るだけでは企業としては商売にならなくなってきています。
そのため、制作後の運用をメインにマーケティング会社として活動するところも少なくありません。
アクセス解析や広告の取り扱いなど、まったく違う内容にはなりますが、学んだ知識を活かす場としてマーケティング系の企業を目指すのも良いかと思います。
インハウスデザイナー、まではいかないとしても、比較的小規模の企業では、ちょっとした印刷物やイベント用のWebサイトが作れたらいいな、という採用が増えてきました。
多くの場合教える人がいないので、自分で検索などをして情報収集が必用になりますが、代替のきかないポジションをキープできるというメリットもあります。
ちなみに、この領域の求人を狙うのであれば、WordPressやStudio、Wixといったローコード・ノーコードツールや、canvaのように無料である程度のものを作成できるシステムなどにも慣れておいた方が良いです。
自分の身の回りの方などを対象に、制作依頼を受けて納品するということを働きながら並行して受けるということも可能です。
特に地方の企業は給与のベースアップは厳しいケースが少なくありませんので、その分を隙間時間で埋めていく形も今のご時世では選択肢の一つだと言えるでしょう。
ただし、Webサイトの制作にはサーバーやドメインの知識が必須なので、特に最初は誰か相談できる相手がいた方が良いです。
また、本業でサイト制作を行う、いわゆる「未経験フリーランス」は絶対にお勧めしません。
Webサイトの制作は損害賠償と隣り合わせな要素が多数含まれています。
知り合いなら許容してくれるトラブルでも、縁のない第3者となるとそうはいきません。やるのであればまずは身近な人の案件から受けることをお勧めします。
また、もし副業で行うならStudioやWixなどの「ノーコードツール」で行った方が、リスクは低めです。ただし、事前にお客様に「このシステムで構築します」と了解を得ることが大前提になります。
Webの技術は多くの業種で活用可能な技術。全力で学習すべき
Webサイトは元々はお知らせを出す、個人の趣味を公開するなどの用途で始まりました。
現在では複雑化したためにWebの制作技術がないと中々制作できませんが、小規模なものでも作り方を身に付ければ、どの業種でも広報は欠かせない要素ですから、活かせるフィールドはたくさんあります。
未経験の就職は厳しいですが、その過程で身につく技術は決して無駄にはなりません。
一日一日大事にして、がんばってください!